白金相場じり高

南アの白金鉱山スト終結 供給懸念の「始まり」

世界最大の白金生産地、南アフリカ共和国の鉱山で5カ月間続いていたストライキが24日に終結した。労働組合が鉱山会社が提示した条件を受け入れ、契約書に署名した。ただ、白金鉱山を巡る問題は「終わりでなく始まり」(先物会社)。操業開始までには数カ月かかるうえ、長期にわたるストでも白金出荷の継続を可能にしてきた在庫が底をついている。今後、白金相場では供給懸念が一気に表面化しそうだ。

「合意は事業再開に向けた第一歩にすぎない。今回のストによる勝者は誰もいない」(白金大手ロンミン幹部)。現地時間24日、ヨハネスブルクで契約書に署名後、鉱山会社と労働組合の幹部はぎこちない笑顔で握手を交わし、記念撮影をした。労働者は週内にも職場に復帰する。しかし、坑道の点検作業や技術の再訓練、関連業者との調整など、スト以前の稼働状況に戻るまでには「3カ月はかかる」(白金世界2位インパラ・プラチナム)。
合意内容の骨子は「3年契約で給料を年約20%増やすこと」(インパラ・プラチナム日本法人の須崎弘雄社長)。鉱山会社3社は賃金・労働条件を記した文書を公開したが、組合が要求していた「一定期間、リストラは行わない」の文章は盛り込まれなかった。白金鉱山をめぐる問題は「終わりでなく、これからが正念場」(岡地投資相談部の田栗満貴金属アナリスト)との指摘がある。賃金増は生産コストアップに直結する。鉱山会社の資金繰りは著しく悪化しており、インパラでは「不採算鉱山の閉鎖、人員削減などの合理化は避けられない。中期的には隣国ジンバブエでの生産を増やすことも検討している」(須崎社長)という。

5カ月間の生産停止による鉱山会社の損失は、日本時間25日10時時点で241億ランド(約2300億円)、無給だった労働者側の損失は107億ランド(約1025億円)にのぼると推計されている。南ア経済への打撃も大きい。南アの輸出の4分の1を占める鉱物資源の生産停滞で、同国の2014年1~3月期の実質国内総生産(GDP)は5年ぶりのマイナス成長となった。5カ月間、無給だった労働者も、大幅な赤字を見込む鉱山会社も国も疲弊しきっているのが実情だ。

白金相場は、これまでストが解決すると供給不安が薄れるとの観測や、金の安値につられ、上値が抑えられてきた。また、鉱山会社はスト中も出荷を継続、価格高騰は回避されてきた。しかし、これを可能にした在庫は5月に入ってほぼゼロ。「今後は需給逼迫を素直に反映し上昇基調を強める可能性が高い」(日本ユニコムの菊川弘之主席アナリスト)。調査会社の英ジョンソン・マッセイ社の調べによると、14年の世界の白金需給は37.88トンの供給不足となり、統計を開始した1975年以降、過去最大の供給不足が予測されている

指標となるニューヨーク白金先物は着実に下値を切り上げている。1~2月には1トロイオンス1375ドルだった下値の水準値が、3~4月には同1400ドル、5~6月には1425ドルと、2カ月で25ドルずつ上昇。「年末にはニューヨーク白金先物は1500ドルを下回ることが難しくなるだろう」(田栗氏)との声もある。

東京市場でも白金先物はじり高基調だ。6月中旬に賃金交渉が「原則的に合意」したと伝わり、18日には一時1グラム4732円の安値をつけた。しかし、交渉が正式に終結しても、予想されていた急落はなかった。最大の材料だったストが終わり、今後は下値は堅く「年内にも5000円を突破する」(菊川氏)との声は根強い。

また、白金をめぐる新たな懸念も急浮上してきた。白金鉱山の労働組合の「成功体験」(菊川氏)をみて、電力会社の労働組合が賃上げ要求を強めている。鉱山が操業再開しても電力供給が滞れば、生産に影響が出る。今回のように鉱山ストが長期化しないよう鉱山労働法の改正も検討されている。「勝者なきスト」は今後の白金相場に火種を残したといえる。

〔日経QUICKニュース(NQN) 2014/6/25 16:30〕

プラチナは1500ドル台のロングポジションがずっと含み損を抱えたままなので、ちょっと嬉しいニュースです。年末までに回復しなければ損切りしようと思っていましたが、年内に1500ドル回復も期待できるかもしれません。

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