株とは違うFX課税・経費 確定申告の注意点
株式や投資信託などは「特定口座」を利用でき、譲渡益や配当がある場合は自動的に源泉徴収されます。しかしFX取引の場合は原則、確定申告が必要です。
2012年から「くりっく365」などの取引所取引と各FX会社の店頭取引の税制が一本化されました。その結果、すべてのFX取引で
(1)20%申告分離課税
(2)損失の3年間繰り越し
(3)損益通算
ができるようになりました。FX取引以外の金融商品とも損益通算できますが、先物・オプション取引が対象となります。
年収2000万円以下で給与所得と退職所得以外の所得が20万円以下であれば確定申告は不要なのですが、FX取引の損失繰り越しなどの手続きは自分で確定申告をするしかありません。
FX取引の所得は2つの利益から必要経費を引いて計算します。2つの利益とは為替レートの変動によって生じる為替差益と、2つの通貨間で発生した金利差に当たるスワップポイントです。
為替差益は決済した時点で決まりますが、毎日発生しているスワップポイントの扱いは商品によって異なります。決済時にはじめて計上される商品と、毎日計上される商品の両方があるのです。
必要経費の考え方も株式投資とは異なります。株式投資の場合、税務上認められるのは取得費と売買手数料程度です。一方、雑所得に区分されるFX取引は事業の経費と似た考え方を適用します。収入があるなら必要経費もかかるだろうという考え方から必要経費は株式投資に比べ幅広く認められる場合があります。
例えばFX会社などが主催する有料セミナーの出席費用や新聞・関連書籍代は認められる可能性があります。パソコンはFX取引だけに使うケースはかなり少ないとみられるため、購入金額の数分の一を経費に入れるのも一つの案でしょう。
税理士 柴原一氏 日本経済新聞 2013/11/22 7:00