金融庁、アブラハムに6カ月の全業務停止命令へ 無登録販売で

 金融庁は11日にも投資助言大手のアブラハム・プライベートバンク(東京・港)に6カ月の全業務停止命令を出す方針を固めた。同社は金融商品販売業者の登録をせずに海外ファンドを事実上販売していた。無登録のまま3000人近くに販売していたことを重くみて、金融庁は厳しい処分が必要と判断した。

 6カ月の全業務停止は登録取り消しに次ぐ厳しい処分。新規に顧客を勧誘するのをすべて止める一方、例外として既存顧客の解約などには応じるよう命令し、投資家に不利益が生じないようにする。アブラハムは「投資家に迷惑がかからないようにする」と述べ、処分を受け入れる考えを明らかにした。

 アブラハムは金融庁に投資助言業者として登録している。助言業者は顧客からアドバイス料を受け取り、中立的な立場で最適な金融商品を提案する。証券取引等監視委員会が3日、金融庁に行政処分を勧告した際の発表では、アブラハムは取り扱っていた海外ファンドから「広告料」などの名目で販売手数料を受け取っていたことが判明。中立的な立場を逸脱し、無登録で販売業を営んでいたと認定した。

 助言業者が運用会社から報酬を受け取ると、その会社の金融商品を勧めやすくなる。顧客の立場に立った助言をしにくくなり、利益相反が起きる。監視委の調べでは、アブラハムが受け取った販売手数料は顧客から受け取ったアドバイス料よりはるかに多かった。

 アブラハムが顧客に勧めていたファンドは運用実態があり、監視委も資金が消失していないことを確認したという。ただ、監視委は無登録販売以外にも「誇大広告」「特定顧客への利益提供」という金商法違反も認定した。金融庁は抜本的な業務改善を進めるには、相当な期間、業務を停止して改善を進める必要があるとみたようだ。

 アブラハムは2004年設立。積み立てサービス「いつかはゆかし」で知られる。監視委の調べでは2010年8月から13年5月末までの間に少なくとも2792人が海外ファンドを購入していた。投資助言残高は約170億円。
(2013/10/11 2:00 日本経済新聞)

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